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2027年度介護保険制度改定に向けた提言を提出しました

2027年の介護保険制度改定に向けた提言書を厚生労働大臣へ提出しました。
生活を支える社会保障制度として「すべての高齢者が尊厳を保ち、自立した生活を送る」という介護保険制度の基本的な理念を守る制度改正となるよう強く求めるものです。
厚生労働大臣 福岡資麿 様
2025年10月15日
生活クラブ生活協同組合
2027年度介護保険制度改定に向けた提言

<はじめに>
生活クラブ生活協同組合(以下「生活クラブ」)は、北海道から兵庫県まで42万人の組合員が集い、食の安全性の追求や自給率の向上、大量生産・大量消費社会からの転換、誰もが自分らしく安心して暮らせるコミュニティづくりをめざして活動している協同組合です。また福祉事業にも取り組み、関連グループ全体で862事業所、14,155人の職員・ワーカーズコレクティブ等により、約5万人弱の方々にサービスの提供を行っており、地域に必要な福祉サービスの創出と充足を進めているところです。
私たち生活クラブの組合員は、介護事業者であり利用者でもあるという双方の立場から、事業者と利用者双方の充実を図り、地域共生社会の推進をめざしています。
本提言書は、介護保険制度の課題や検討中の見直し事項について改善を求めるために提出するものです。

<背景と課題>
介護保険制度が始まって四半世紀が経過しましたが、2024年度の制度改定では訪問介護の報酬が引き下げられ、多くの介護事業者が休廃業に追い込まれました。物価や光熱費の上昇も重なり、事業所の経営は一層厳しさを増しています。
介護職は社会に不可欠でやりがいのある仕事である一方、職員の実質賃金は上昇せず、人材不足が深刻な状況です。介護職員の基礎報酬の引き上げや職場環境整備は急務といえます。
さらに、2021年度の財政制度審議会では、ケアマネジメントの10割給付見直しや、要介護1・2を「軽度者」と再定義し、給付対象を縮小する議論がなされました。今回の審議会でも再び検討テーマとなっていることを強く懸念しています。
介護保険制度は「すべての高齢者が尊厳を保ち、自立した生活を送る」という理念に基づく社会保障制度です。2027年度の改定にあたり、事業者にも利用者にも持続可能な制度となることを求め、以下の提言を行います。

<提言内容>
1.ケアマネジメントの10割給付を維持してください
2.在宅介護を支える訪問介護・通所介護の給付を充実させてください
3.利用者負担は現状を維持し、低所得者への対策を検討してください
4.訪問介護の基本報酬を引き上げてください
5.人材不足が懸念されるケアマネジャーやホームヘルパーを増やすため、実効性ある施策を検討してください

<具体的な要望>
1.ケアマネジメントは10割給付の維持を要望します
独居高齢者や高齢夫婦世帯が増える中、定期的な訪問・相談支援・ケアプラン作成を担うケアマネジメントは極めて重要です。
しかし、『経済財政運営と改革の基本方針2024』(骨太方針2024)では「ケアマネジメントに関する給付の在り方」の見直しが検討され、財政制度等審議会は有料化を提案しています。
利用者負担を課すことは利用控えを招き、結果的に心身の悪化を通じて介護費や医療費の増加につながりかねません。ケアマネジメントの10割給付は維持してください。

2.在宅介護を支える訪問介護・通所介護の充実を要望します
要介護認定者は訪問介護や通所介護によって生活を維持しています。
しかし、『骨太方針2024』では「軽度者への生活援助サービス等の給付の在り方」が検討され、財政制度等審議会は要介護1・2を「軽度者」とし、給付を地域支援事業へ移行させることを求めています。
認定を受けたにもかかわらず給付が保障されないのは制度後退にほかなりません。要介護1・2を含め、訪問介護・通所介護の充実を図る施策を進めてください。

3.利用者負担の現状維持と低所得者対策を要望します
 介護保険の利用者負担は原則1割(所得により2~3割)ですが、物価上昇率は年金引き上げ率を上回り、とりわけ低所得者では介護保険料を払っているにもかかわらず利用料負担が重く、サービス利用が困難となる事態が広がっています。
しかし、『骨太方針2024』では「2割負担となる基準の見直し」が検討されており、実質的な負担増となります。
利用者負担は現行水準を維持し、低所得者には公費による補助などの対策を講じてください。

4.訪問介護の基本報酬の引き上げを要望します
2024年度改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられ、小規模事業所を中心に休業・廃業・倒産が過去最多となっています。今後、訪問介護の需要は増大し、供給不足から「介護難民」が増加する恐れがあります。
担い手確保のために、訪問介護の基本報酬を早急に引き上げてください。

5.人材確保のための実効性ある施策を要望します
ホームヘルパーを含む常勤の介護職員の平均給与は全産業平均より約8万円低く、賃金格差は依然大きいままです。さらにケアマネジャーの賃金増加率はこの10年間で介護職員平均にも追いついていません。
介護保険制度を支えるケアマネジャー、ホームヘルパー、介護職員の給与引き上げにつながる報酬見直しを行うとともに、小規模事業所の持続的な運営を支援する施策を早急に実施してください。

<おわりに>
 本提言が、介護・福祉の現場で働く人々と利用者双方の生活の質の向上に資することを願います。厚生労働省におかれましては、真摯なご検討を賜りますようお願い申し上げます。

<連絡先>
代表者名:生活クラブ生活協同組合(愛知)理事長 中野京子
住所:愛知県名古屋市天白区野並1丁目120

 
今後も介護保険制度の理念が守られ、高齢者の生活の質(QOL)向上に資する制度設計がなされるよう、引き続き国への働きかけを行ってまいります。

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